塩川税理士事務所

相続税の基礎

相続税の基礎的な項目について概要を解説します。

  1. 相続税の申告納税期限

    相続の日から10か月以内に申告と納税を済ます必要があります。原則、1日でも申告期限が過ぎた場合は、相続税額の5%の無申告加算税が課税されます。納付が遅れた場合は、延滞税が課税されます。間に合わない場合は仮の数字で申告することをおすすめします。後で正確な数字で申告をすれば修正申告でも加算税はかかりません。(なお延滞税はかかります。また、修正するまでに税務調査が入った場合は過少申告加算税が10%、50万円を超える部分は15%かかります。)

  2. 相続税の対象になる財産(課税財産)

    被相続人の所有する預金、有価証券、不動産、貸付金等財産価値のあるもの全て。 生命保険、損害保険、死亡退職金を含みます。なお、財産の評価は、相続税財産評価通達に基づいて行います。

  3. 相続税がかかる人

    相続税の基礎控除は、3千万円プラス法定相続人1人当たり6百万円です。 例えば相続人が妻と子供2人の場合は、基礎控除が48百万円です。 つまり課税対象の相続財産が48百万円以下の人は相続税がかかりませんので申告不要です。

  4. 遺産の分割方法

    遺言書がある場合は、遺言書に従って分けます。なお、受遺者が相続人である場合は相続人全員が合意して条件を満たせば自由に分割することが可能です。遺産分割協議による場合は、相続人全員が合意すれば自由に分割できます。法定相続分は、合意ができないときの規定です。

  5. 相続税の主な特例

    配偶者控除 配偶者が取得した相続財産が1億6千万円または相続財産全体の2分の1のどちらか大きい額までが非課税になります。

    死亡保険金、死亡退職金は、それぞれ相続人1人あたり5百万円まで非課税です。

    小規模宅地の評価の特例 相続財産の居住用土地が被相続人と同居していた家族が取得した場合条件を満たすとその土地の評価を330㎡まで80%減額できます。特例を受けるためには申告が必要です。ほかにも事業用土地や貸地についても同様の特例があります。

  6. 相続財産の主な評価方法

    土地  路線価や固定資産税評価額をもとに、土地の形状、立地条件を考慮して相続税財産評価通達に従って評価します。

    建物  固定資産税評価額により評価します。

    上場株式 相続の日の終値、相続の日以前3か月間の月間の終値の平均のうち一番低い金額が評価額です。なお、被相続人の名義でない有価証券であっても、購入資金が被相続人であり被相続人が管理していた場合は状況により相続財産に加える必要があります。

    預金 相続の日の残高が評価額です。金利がついている場合は、相続の日時点の金利の額を加算します。なお、相続の日以前の近い日に出金して手元に残っている金銭は、相続財産に加算します。被相続人が管理していて名義がことなる預金は状況により相続財産に加える必要があります。


  7. 準確定申告の申告納税期限

    準確定申告とは、相続の日から原則4か月以内に相続のあった年の1月から相続の日までの所得税の申告と納税をします。所得税がかかる場合は、期限を過ぎて申告すると原則無申告加算税が5%かかります。還付の場合は4か月を過ぎても問題ありません。還付申告で相続人が複数いて、代表で受け取る場合は委任状が必要です。なお、還付申告の際に遺産分割協議書で還付金を受け取る相続人が決まっている場合は、遺産分割協議書の写しを提出すれば委任状は不要です。


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