塩川税理士事務所

税理士の選び方

  1. HPで相続税専門の税理士を探す。候補をいくつか決める。相続税がかかるのに間違っても行政書士や民間資格の相続士、相続コーディネーター、相続診断士等を選ばないこと。相続税業務は税理士と弁護士だけができます。それ以外の者が行うと有償無償を問わず税理士法違反です。公認会計士、司法書士の資格でもできません。結局税理士に依頼しなければならないので報酬を余分に払うことになります。
  2. 本当に相続専門か確かめる。本当の相続専業の税理士はわずかです。検索で相続専門と表示される税理士事務所のほとんどは、代表税理士の名前で検索すると本業である会計業務のHPが出てきます。
  3. 候補の税理士にメールか電話で財産の概要を伝えて見積もりを取ってみる。
  4. 何人か直接事務所を訪問して、会って話をして見る。本当に相続税専門なのか、事務所ははやっているか(大切なことです)、書棚を見て新しい情報で勉強しているか、税理士との相性はどうかを確かめる。
  5. 帰ってから比較して決める。

税理士を選ぶ前に知っていただきたいこと

おそらく知っている人は少ないと思いますし、たぶん税理士本人も気がついていないかもしれません。
実は、所得税などとは違い、相続税は計算する税理士によって金額が異なるのです。

相続税の金額は相続に慣れた税理士とそうでない税理士、あるいは節税に対する取り組み方で、計算した税額に違いが出てくるのです。

医師に専門分野があるように税理士にも専門分野があります。
税理士のほとんどは○○会計事務所の名前で、会社や個人事業者の顧問として月々の経理や毎年の決算を業務としています。日本に税理士事務所(会計事務所)は約4万5千件あります。平成29年度の相続税の申告件数は約11万1千件でした。この中で相続税専門の税理士が年間に数十件から数百件こなすわけですから一般的な会計事務所が相続税の申告書を作るのは、数年に1回程度であることはご理解いただけると思います。 私たち相続専門の税理士は、相続税の申告書の作成やそれに伴う現地調査、財産調査などの業務や相続対策の立案、税法や関連法令の研究を行っています。 ただし、相続を専門とするためには、相当な経験と法令の研究が必要なため、相続関連業務しか扱わない税理士事務所は非常に少ないのが現状です。通常は、会計事務所として会計業務をしていますが、相続税もできますというのが一般的です。最近は相続税業務を始めてみようと言うことで業務拡大のために会計業務用のHPとは独立して相続税専門と表示しているHPを持っている会計士や税理士の事務所が増えています。大概は会計士や税理士の名前で検索すると会計業務のHPが出てきますから本当に専門かどうかは区別がつきます。

また極端に安い報酬で相続事案を請ける事務所もありますが、報酬と税理士の責任(リスク)は当然比例します。安い報酬では、税理士がリスクを冒して税法のグレーゾーンについて責任の持てる的確なアドバイスが出来るはずがありません。その報酬に見合うコストを考えると、土地の現地調査や登記調査等あるいは検討作業にどれだけ時間をかけているのか疑問があります。また、相続業務は経験が大変重要です。税理士や会計士資格を取得していきなり開業して、試験で勉強した知識や実務書を読むだけも申告書は作れますが、それが本当に相続人にとって最適かどうかは別問題です。少なくとも相続に詳しい税理士のもとで10年間は経験を積むことが必要だと思っています。実際の相続案件で実務経験を積むことは相続人にとっては大きな迷惑です。相続それほど奥が深く経験が直接、税額に跳ね返ってくる税理士業務は他にないでしょう。

相続は片手間に出来るような業務ではないと思います。相続人にとっては、大切な遺産の何割かを納めなければならないのですから、節税のためにはあらゆる可能性を考えて、土地を実際に見る近隣を調査するなどすべきことはたくさんあり、時間をかけすぎるということは無いと思います。

相続になれた税理士が作成する申告書は、何が違うのでしょうか。

所得税や法人税の場合、同じ決算書から作る申告書は、どの税理士が作っても同じ税額になります。 ところが相続税は、同じ相続事案でも作成する税理士によって相続税額に大きな開きがあり何千万円以上の違いがでることもあります。しかし、どちらも税務署からみると税法上問題のない申告書です。

なぜそのようなことになるのでしょうか。

まず第1に相続税は、誰が何を相続するかで税額が変わります。第2に土地等の財産の評価方法にノウハウが必要です。第3に相続税にはたくさんの特例があり選択肢が非常に多い。ですからどれを選択するかによって当然答えは異なります。

相続になれた税理士は、過去の多くの経験と研究からどのように土地を評価し、遺産を分割して、どの特例をどのように使えば有利になるかのノウハウがあります。そして、相続税を少なくするのが目的ではありません。最終的により多くの財産を遺すことが最終目標です。相続税の申告書を作るだけではだめなのです。これは、市販の専門書を調べてもおそらく誰も書かないので分かりません。

相続の経験があまりない税理士であっても市販の専門書に書いてある程度の知識はありますから、依頼があれば自信をもって相続税額を計算します。でもその税額が本当に最適な税額なのかどうかは、作った税理士には当然分かりません。もちろん依頼した相続人にもです。

税理士を選ぶ基準は何でしょうか。

まずは、実際に色々質問してみることです。単に誰かの知り合いだからといった理由で依頼するのは危険です。会社の税務顧問ならともかく1回限りの申告ですから、よく話を聞いて不安があれば依頼する必要はありません。相続税と税理士報酬を払うのはあなたなのですから慎重に選びましょう。

遺産の概要を伝えて報酬の見積もりを依頼しましょう。「やってみないと分からない」と言われたら要注意です。相続税の申告は経験があまりないので、やってみないとどの位手間がかかるか分からないと言っているのと同じことです。つねに相続税の申告業務を行っていれば最初にお話を伺えばどのような業務が必要なのか予想ができます。

土地をどうやって評価するのかを聞いてみましょう。相続財産の評価で一番違いが現れるのは土地の評価です。土地の登記簿の面積と地図や固定資産税の評価証明書だけで評価するのであれば問題です。土地を実際に見なければ評価を下げることは出来ません。結果的に評価が下がらなくともするべきことです。もちろん何を見るかがノウハウなのですが、少なくとも現地調査をしないようであれば慣れ以前に節税の意識がないと考えて間違いないと思います。

問い合わせて、強引に契約をしようとしたり、他の税理士を批判する場合も注意しましょう。税理士は他の税理士を評価しないという暗黙のルールがあります。他の税理士を評価してまで仕事を請けようとするのは、よほど切羽詰っているのでしょう。基本的に他の税理士の仕事を知ることはないので評価しようがありません。また、態度が高慢であったり、自慢話をして、依頼者の話を聞かない税理士もだめでしょう。いろいろと比べて報酬が安すぎるのも問題があります。

一つの例として、連年贈与について誤った解説が広まっています。最初に連年贈与の契約をしない限り課税されません。契約の無い連年贈与を課税するような法律、通達など一切無いのですが、毎年同じ額を同じ時期に贈与を続けると10年や20年前に遡って課税されるなどと時効(除斥期間)を無視したような解説をしているHPが数多くあります。時効の過ぎた10年前の贈与をどうやって課税するのでしょうか。毎年契約書を作っておけば問題なく、贈与の日や金額を変える必要は全くありません。贈与の日や金額を変える必要があると解説をするのは、自分で考えていない証拠です。しかもその中には相続専門と称するHPもあるので驚きです。この場合重要なのは、そんなことではなく、贈与の事実を証明できるようにしておくことです。(なお、幼児や赤ちゃんの場合は贈与契約書があっても認められない場合があります。この場合は、ある一文を入れることで問題が無くなります。)このようなことも税理士選びのヒントになると思います。

ホームページで宣伝に「特例を適用して**万円節税とか、税理士の添付書類を作成します」とありますが、特例の適用はあたりまえの話で、しなければ大問題です。大切なのはその相続で税額を抑えるのではなく、少なくとも2次相続を考慮して税額が最低になるように相続税対策を含めてコーディネートすることです。

最後に税理士に会って見てください。人間同士の相性というものがあります。実際に話して質問してください。税理士をよく観察してください。そしてその場では契約しないで、帰って冷静にもう一度考えてから決めてください。契約を急ぐ場合は候補から除外したほうがよいでしょう。

お願い

税理士無料紹介サイトというものがいくつかありますが、税理士を探す場合は直接税理士にコンタクトしてください。紹介サイトを運営するには当然経費が必要です。従って、紹介を受けた税理士がその費用を負担するわけですから、直接依頼するよりも割高になってしまうのです。相続税がかかりそうな場合は、行政書士では無く必ず税理士に相談してください。同様に最近、相続士、相続診断士、相続コーディネーター等の民間資格が増えているようですが、相続税がかかる場合は、必ず税理士に依頼することになりますので、相続税専門税理士に依頼すれば一度で済み経済的です。
実例ですが、ある行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼したところ、民法の法定相続分で分割しないといけないと言われたが本当ですかと、相談に来られたことがあります。もちろんの合意すればどのような分割も有効です。


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