税理士を選ぶ前に知っていただきたいこと
おそらく知っている人は少ないと思いますし、たぶん税理士本人も気がついていないかもしれません。
実は、所得税などとは違い、相続税は計算する税理士によって金額が異なるのです。
相続税の金額は相続に慣れた税理士とそうでない税理士、あるいは節税に対する取り組み方で、計算した税額に違いが出てくるのです。
医師に専門分野があるように税理士にも専門分野があります。
税理士のほとんどは○○会計事務所の名前で、会社や個人事業者の顧問として月々の経理や毎年の決算を業務としています。日本に税理士事務所(会計事務所)は約4万5千件あります。平成17年度の相続税の申告件数は約4万5千件でした。この中で相続税専門の税理士が年間に数十件から数百件こなすわけですから一般的な会計事務所が相続税の申告書を作るのは、数年に1回程度であることはご理解いただけると思います。
私たち相続専門の税理士は、相続税の申告書の作成やそれに伴う現地調査、財産調査などの業務や相続対策の立案、税法や関連法令の研究を行っています。
ただし、相続を専門とするためには、相当な経験と法令の研究が必要なため、相続関連業務しか扱わない税理士事務所は非常に少ないのが現状です。通常は、会計事務所として会計業務をしていますが、相続税もできますというのが一般的です。
また極端に安い報酬で相続事案を請ける事務所もありますが、その報酬に見合うコストを考えると、土地の現地調査や登記調査等あるいは検討作業にどれだけ時間をかけているのか疑問があります。
相続は片手間に出来るような業務ではないと思います。相続人にとっては、大切な遺産の何割かを納めなければならないのですから、節税のためにはあらゆる可能性を考えて、土地を実際に見る近隣を調査するなどすべきことはたくさんあり、時間をかけすぎるということは無いと思います。安さにつられて報酬をケチったために余分な相続税を払っているのではないかと心配です。
相続になれた税理士が作成する申告書は、何が違うのでしょうか。
所得税や法人税の場合、同じ決算書から作る申告書は、どの税理士が作っても同じ税額になります。
ところが相続税は、同じ相続事案でも作成する税理士によって相続税額に大きな開きがあり1千万円以上の違いがでることもあります。しかし、どちらも税務署からみると税法上問題のない申告書です。
なぜそのようなことになるのでしょうか。
まず第1に相続税は、誰が何を相続するかで税額が変わります。第2に土地等の財産の評価方法にノウハウが必要です。第3に相続税にはたくさんの特例があり選択肢が非常に多い。ですからどれを選択するかによって当然答えは異なります。
相続になれた税理士は、過去の多くの経験と研究からどのように土地を評価し、遺産を分割して、どの特例をどのように使えば有利になるかのノウハウがあります。これは、市販の専門書を調べてもおそらく誰も書かないので分かりません。
相続の経験があまりない税理士であっても市販の専門書に書いてある程度の知識はありますから、依頼があれば自信をもって相続税額を計算します。でもその税額が本当に最適な税額なのかどうかは、作った税理士には当然分かりません。もちろん依頼した相続人にもです。
最近、過去に申告した相続税の見直しによる還付申請を業務としているいわゆる還付屋さんとよばれる税理士が増えているのは、このようなことがあるからです。
税理士を選ぶ基準は何でしょうか。
まずは、実際に色々質問してみることです。単に誰かの知り合いだからといった理由で依頼するのは危険です。会社の税務顧問ならともかく1回限りの申告ですから、よく話を聞いて不安があれば依頼する必要はありません。相続税と税理士報酬を払うのはあなたなのですから慎重に選びましょう。
まず、報酬の見積もりを依頼しましょう。「やってみないと分からない」と言われたら要注意です。相続税の申告は経験があまりないので、やってみないとどの位手間がかかるか分からないと言っているのと同じことです。つねに相続税の申告業務を行っていれば最初にお話を伺えばどのような業務が必要なのか予想ができます。
一つのヒントとして、土地をどうやって評価するのかを聞いてみましょう。相続財産の評価で一番違いが現れるのは土地の評価です。土地の登記簿の面積と地図や固定資産税の評価証明書だけで評価するのであれば問題です。土地を実際に見なければ評価を下げることは出来ません。結果的に評価が下がらなくともするべきことです。もちろん何を見るかがノウハウなのですが、少なくとも現地調査をしないようであれば慣れ以前に節税の意識がないと考えて間違いないと思います。
また最近気がついたのですが、連年贈与について誤った解説が広まっています。連年贈与を課税するような法律、通達など一切無いのですが、毎年同じ額を同じ時期に贈与を続けると10年や20年前に遡って課税されるなどと時効(除斥期間)を無視したような解説をしているHPが数多くあります。しかも、その中には相続専門と称するHPもあるので驚きです。このようなことも税理士選びのヒントになると思います。
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